海水浴に行けない夏は、古本の海で泳ぐ。
今年の夏は、いつもと違う。
感染症の影響で、日本人の幸福度が下がっているからか。
地球温暖化が進み、夏の気温が常に上昇し続けているからか。
いや、違う。それもあるだろうが、違う。
では、なんだ? それは...
私は、今年の3月をもって、学生を卒業したからである。
そう、学生としての「夏」は終わったのだ。
「青春」というと言葉がある。
主に、学生時代の甘酸っぱい恋愛観や部活動に熱中する期間を指すときに用いられる。
生涯において、0~20歳までが春だとすれば、21~40歳までは夏、41~60歳までは秋、そのあと、61歳以降は冬ということになるはずだ。
だから何だという話だが、「私の学生としての夏」(青春の期間なので「春」かもしれない)は終わってしまったが、生涯における夏の期間は始まったばかりなのである。
なので、今年の夏は、いつもと違うのである。
お分かりいただけるだろうか。
さて、本題に入る。
先日、8月15日、京都の下鴨神社で開催された、古本市に行ってきた。
名称を「下鴨納涼古本まつり」という。
ここで、私の好きな小説家を紹介する。
急な話ではあるが、大切なので、少し話の割り込みを許してほしい。
京都の小説家、森見登美彦氏である。
彼の小説に「四畳半神話大系」というものがある。
この小説のなかに、主人公とヒロインの出会いのシーンがある。
その場所こそ、先日、私が参加した古本市である。
小説の内容については、これ以上触れないので、ぜひ手に取って読んでみてほしい。
特に、大学受験を控えた学生は必見だ(大学進学のモチベーションにつながるとか、なんとか...)。
という、私の好きな小説の世界に、一時ではあるが、関わることができたのです。
とても心地の良い時間でした(前日に雨が降っており、15日は納涼という言葉にふさわしい一日だった)。
40分ほど、古本を見てまわり、私は5冊の本と出会うことができた(割引料金に魅かれ、同じ店でまとめて買ったことは内緒である)。
マジメ人間 山口 瞳
夜間飛行 サン・テクジュペリ 堀口 大學 訳
水中都市デンドロカカリヤ 安部公房
の5冊である。
1冊目 マジメ人間
この本は、まず表紙に魅かれた。
サントリーという飲料メーカーがあるが、そこのトリスウイスキーの広告キャラクターである「アンクルトリス」の生みの親、柳原良平がイラストを描いている(これが、とても可愛い)。
2冊目 ライン河幻想紀行
こういう紀行小説は、旅行した気分が味わえて少し楽しい。
大学時代は、深夜特急という小説を読み、バックパック1つで目的のない旅行に出かけることに憧れを抱いたものだ(深夜特急はシリーズものだが、1冊目しか読んでいない。いつかは全部読破したいものだ。)。
3冊目 秘画・写楽の謎
古本市では、いろいろな「絵」が売られている。
特に多いのが、浮世絵である。数十枚が重なって売られており、そこに丸眼鏡をかけた猫背の若者や大きなリュックを背負った老人が集まり、一枚ずつ丁寧に吟味している。
私は、浮世絵については全く無知である。しかし、そういう人たちを見ると、少し憧れを感じてしまうのは、男のサガだろうか。
ただ、写楽という名前には聞き覚えがあり、いつの間にか、この本を手に取っていた
(ちなみに写楽とは、江戸時代の浮世絵師のことである)。
4冊目 夜間飛行
言わずもがな、「星の王子さま」の作者、サン・テクジュペリの小説である。
この本を選んだ理由は、それ以上でもそれ以下でもない。
5冊目 水中都市デンドロカカリヤ
この本を書いた、安部公房については最近知った。
とあるYouTuberが、安部公房の「カンガルーノート」というお話を紹介していたのをきっかけに、地域の図書館で安部公房全集なるものを借りた。
独特の世界観で、読者を選ぶかもしれない(ちなみに私は、まだ彼の小説について、うまく説明できない)。
そういった、ちょっとした関係性から、購入に至った。
以上5冊で、まとめて300円という破格のお値段である。
さすがは古本市、本との出会いを邪魔しない。
もし、古本市に興味があれば、「秋の古本まつり」が10月30日~11月3日までの5日間、京都で開催されるので、ぜひ参加してみてはいかがだろうか(コロナウイルス感染症が、ある程度収まればの話だが)。
詳しくは、京都古書研究会のブログをチェックしてみてください。
前から行ってみたいと思っていた、古本市に足を運ぶことができ、とてもうれしい。
また何かあれば、ブログを書こうと思う。では、さようなら。
追伸
購入した本の写真を置いておきます。