門前にて立ち往生

エッセイ的なことに憧れて始めました。

そして世界の風呂をめぐる(1)

先週から、私の頭のなかを、一つの願望が支配していた。

 

「「大きい風呂に入りたい。」」

 

あぁ、貧乏人の一人暮らしはつらい。

部屋には、ユニットバスがあるが、なぜか浴槽に穴が空いており、へそ上までしかお湯がたまらないように設計されている。

 

肩までつかるには、代わりに尻が犠牲になる。

頭隠して尻隠さずとは、風呂場にいるアホな私を見た御仁の言葉ではないだろうか。

 

そんなことを考えながら、いつもシャワーのみで済ます日々。

抜け出したい、大きな風呂に浸かって、「あぁ...」と気の抜けた阿呆な声を上げたい。

 

溜まり、溜まった不満は、いつしか行動に移る。

「そうだ、温泉に行こう。」

 

近くの銭湯、温泉で調べると、多くの検索先が引っ掛かる。

しかし、私の移動手段は、電車とバスのみである。

 

山奥の秘湯や、有名な温泉街などは行きづらい。

 

そんななか、ある謳い文句に心を惹かれた。

「世界の大温泉 スパワールド

 

ここは、大阪の通天閣近くにある、温泉施設である。

(小さいころ、よく親に連れて行ってもらった。)

 

大阪観光に来る際は、「スパワールドで風呂に入り、夜の通天閣周辺を散歩する」というコースがおすすめだ。

 

スパワールドでは、アジアゾーン、ヨーロッパゾーンに分かれており、月替わりで、男女の風呂場が逆転する。

 

今月は、男性がヨーロッパゾーン、女性がアジアゾーンの月だった。

各ゾーンでは、その地域の国をイメージした風呂が数種類ある。

 

私は、青の洞窟という、洞窟のなかを青いライトで照らしてある風呂が好きだった。

また、魚の水槽があり、ボーっと湯に浸かれる風呂も記憶に残っている。

 

話が逸れたが、私はスパワールドに行くことを決意した。